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マイルストーンとしてのブログです。2018年1-8月まで適応障害で休職後、転職。気持ちの揺らぎを見つめて自分のハンドリング方法を模索しています。

ギターソロ曲・選曲の3つの基準

ギターのソロ曲を弾く機会がちょこちょこあるのですが、非常にありがたいことに選曲でお褒めの言葉をいただくことが多いので、自分のレパートリー備忘録も兼ねてまとめてみました。

実際は、どの曲も披露する会が終わったらそれっきりなので、レパートリーと言えるほど安定して弾けるわけではないんですが……

それでも、書き出してみたら当時考えていたことがスラスラっと出てきて、ちょっと自分にびっくりしました。
やっぱりがんばったことは忘れないものですね。

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選曲の基準

①自分の音質に合ったものを選ぶ

自分のその時の技術レベルも絡んでくるかなとも思います。
あと弦の好み、楽器そのものの特性もあるかもしれないですね。

・そんなに指が回るタイプではないので、パキッとクリアな音質というより「ほわん系」
・でも甘いメロウな音質ではない
・楽器そのものもバキバキ鳴る感じではない
・弦も柔らかいテンションのものが好き

私の場合はざっと挙げるとこんな感じでしょうか。

音質について、同じ団体・同じパート所属でとても尊敬している方に、
一見硬くひんやりしているけど、ちゃんと心のある音」という言葉をいただいたことがあります。

この言葉が本当に嬉しくて後生大事にしているので、ソロの時はなるべくそこを活かせるような選曲を心がけています。

②有名な作曲家の場合はあまり弾かれてなさそうなものを選ぶ

天邪鬼なので、せっかくだからまだ他のメンバーが聞いたことがない(であろう)曲を探してやりたいなという気持ちは常にあります。

ギター弾きなら誰もが弾きたいメジャー曲、みたいなものは山ほどありますし、自分も挑戦したいな〜と思わないわけではないです。
が、弾ける自信なないし比較される度胸もない、というのが裏の理由。

なかなかの逃げ腰。

③技術面・表現面でのテーマ設定をする

選曲のメジャー・マイナー問題で逃げ腰になっている分、ここはできるだけ妥協しないようにしています。

技術面では、本業の合奏やソロ大会で気づいた問題を元に必ずテーマを設定して、その上で曲を探します。

合奏と違い、ひとりで曲を組み立て、そしてひとりで人前に出て弾かなければならないので、「技術面の課題はあるけれど技術だけで手一杯にならない範囲の難易度かどうか」は気にしています。
表現に気を回す余地があるかどうか、みたいな感じですね。

その上で表現面では、やりたいことの他に
・自分でコントロールできる範囲かどうか
・集中力が1曲きっちり維持できるかどうか

という2点は必ず自問自答します。

ソロ曲への挑戦は表現の幅を広げるいい機会なので、技術も表現もちょうどよく伸ばせるようなものを根気よく探す、ということを気をつけています。

ローラン・ディアンス「カプリコーンの夢」

高校生の頃にお世話になってたギターのコーチが弾いていた曲です。
直接聴いたわけではなくなぜか録音を持っているんですけど、どういう経緯で私の手元に録音があるのかが一切思い出せないという謎。

変則チューニング(5弦がB=シ)、人工ハーモニクスの嵐、そして同弦の連打という、これまで挑戦したことのない技術が詰まっていて、本当によく挑戦したな!と振り返って思います。

それでも挑戦して、それなりに弾き切るところまで持っていけたのは「憧れ」の力なんでしょうね。

どんな風に音を響かせたいのか、どこをどう盛り上げるのかなど、曲の作り込みをひとりでやり切るという意識に目覚めたのも、この曲の練習中でした。

なので、先に挙げた選曲のポイントも、この曲が起点になってる部分がほとんどです。

ディアンスはもう言わずと知れた作曲家なので、メジャーな曲はそりゃあもうたくさんあるんですよ……私も弾けるものなら弾きたいわ!な憧れ曲も一応あるんですけどね。

ディアンスを偲ぶ演奏会「http://dyens.kga.tokyo/:tithe=ディアンス・ナイト」を聴きに行ったのもいい思い出です。
とにかく当時の自分はめちゃくちゃがんばったな、偉いなと思います。我ながら。

アンドリュー・ヨーク「Waiting for Dawn」

ディアンスを弾いたので次はヨークに挑戦するか、という安易な発想で選曲スタート。

バイオグラフィーを見つつ片っ端からYouTubeで音源を聴いていき、そこから①と③で絞り込みました。

カプリコーンの夢」は特殊奏法とテンポ揺らしが多く、当然そこで苦戦はしたのですが、それによって聴きごたえが生まれたので、表現面で救われた点もかなりあったなと。
曲に助けられたってやつですね。

なので、
・特殊奏法は一切なし、テンポは基本一定のシンプルな曲でどこまで飽きさせずに聴かせられるか
ということをテーマにしました。

実際はだいぶ練習不足で、確か本番も繰り返し記号を見失ってどこを弾いてるか15秒くらいわからなくなるというアホをかましたので、しれっとごまかしましたけど若干トラウマです……

でもいい曲なんですよねすごく。
懐かしいけれど感傷に浸りすぎない、からりとした曲調なので、自分の音質傾向にも合っていたんじゃないでしょうか。
暖炉の前とかでゆったり弾けたら素敵だなと思います。

ニキータ・コシュキン 「バラード 1楽章 Allegretto」


リベンジを誓い気合いを入れて選曲した記憶があります。

・ハンマリングとハイポジションから逃げない
・華やかでキレ味の良い演奏に挑戦する
・テンポキープ

が技術面・表現面でのテーマでした。

自分の音質との相乗効果から離れたときにどこまでやれるのか、ですね。
あとは「Waiting for Dawn」の時に、ひとりでテンポを作って保つって意外と難しいな!?と思ったので、ちょっとだけですがテンポが早く、音の密度も高いものを選びました。

これは結果的にすごく上手くいき、曲の完成度もかなり納得できるところまでやれたので、本番もすごく楽しかったです。

コシュキンは「アッシャー・ワルツ」が非常に有名なのですが、安定の「じゃない曲」。
エドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」が元になっており、とても妖しげで魅力的な曲です。
が、音が多くてテンポが早い上にキレ味を出すのが難しそうでして……なかなか手を出せずにいます。

ヨハン・カスパール・メルツ「吟遊詩人の調べOp.13より 小変奏曲」

テーマは
・古典っぽい曲に挑戦する
・特殊奏法に頼らずシンプルに音質を追求する

でした。

ディアンス→ヨーク→コシュキンと現代の曲にばかり挑戦していたので、ここらでちょっと毛色の違うかっちりしたクラシカルな曲をやるか、というところから曲を探しました。

よく弾いたな……と思います。笑

5分くらいの曲なのですが、変奏曲なので音取り自体はそこまで難しくなく、繰り返しも多かったので譜面が1枚で収まるというある意味コスパの良い曲です。

それでもこの時は仕事が猛烈に忙しかったこともあり、準備期間が全然なくて大変でした。
技術の練習で終わってしまい、音質での表現までたどり着けなかったのはちょっと心残りでしたね。

それでもそもそもの曲の雰囲気がこれまでの3曲と違うので、古典っぽい音を考えたり、より正確に音を弾くよう神経を使ったりというのは意識していました。
これも自分にとっていい経験だったなと思います。

フレデリック・ハンド「A Celtic Tale」

前述した尊敬する方が、同じ作曲家の「Lesley's Song(レスリーズ・ソング)」を演奏していて、すごくいいなと思ったのがきっかけです。
その方の柔らかくて甘い音質と曲調が合っていてめちゃくちゃ素敵だったんですよね。

でも同じ曲はやらない、というのが天邪鬼。笑

ハンド氏ご本人の演奏もYouTubeにもいろいろ上がってるので、それを片っ端から聴いて決めました。

・単音、少ない音数でどこまで聴かせられるか
・音質にきっちりこだわりたい
・曲内での整合性に気をつける

というのがテーマでした。

というのも直近の演奏会で、単音のメロディーに自分がとんでもなく弱いという課題が分かり……

ハイポジションで旋律部分を弾くにあたって、単純に音取りが苦手すぎて音質や歌わせ方までたどり着くのが遅いという、お前はいったい楽器何年目だ?みたいな弱点に気づいてしまったんですよね。

冒頭が非常にシンプルな単音の旋律なので、まさに今回の課題克服にはうってつけの1曲でした。
イメージに最も近い音が出せるポジションを見つけられた瞬間は妙に嬉しかったですね。

同じフレーズの繰り返しなので、冒頭の旋律で作った「歌」のニュアンスを最後まで保ちつつ、ちょっとずつ変化を混ぜていくにはどうしたらいいかなというのを考えて練習を重ねていました。

が、当日の演奏順で見事トリを引いてしまい、緊張に負けて完全に頭が真っ白になりました。
普段絶対にミスらないところで譜面が飛んで、しばらく呆然としちゃいました……

リモートでの発表というのも緊張に拍車がかかったような気がしますが、単純に私がビビリなだけですね……精進します。

これからやってみたい曲

キケ・シネシ「魔法は君の中に」

まず題名がいいですよね。
爽やかで軽やかな中にキラキラっとした音が入るような演奏ができたらいいなという想像が膨らむ曲です。

「澄み切った空」を、これまた同じ団体のバッキバキに上手い方が弾きこなしていて、なんてかっこいいんだ!と感動して以来、シネシはどこかで挑戦したいな〜と思っています。

こういう速いアルペジオがある曲から逃げまくっているので、そういう意味でもいつか挑戦せねばなと頭の片隅に置いています。

フランシス・クレンジャンス「最後の日の夜明けに」

特殊奏法パラダイス曲です。
最近の選曲は特殊奏法のトリッキーさに頼らずにどこまで表現できるかという方向に進んでます。
が、逆にこんな面白い使い方の曲があるんですよ!という方向に行ってもいいのでは?と思って探し出した曲です。

ひとりの男がギロチンで処刑されるまでの話を描いている曲で、時計の針のチクタク音や時計台の鐘の音、そしてギロチンで首が落とされる音(!)が特殊奏法で表現されています。
※動画は2楽章、6時を告げる時計台の鐘の音からスタートします。

でも実は特殊奏法じゃない部分が普通に速くて難しそうですし、ポジション移動が激しいので技術の底上げになりそうです。
曲そのものの緊張感がすごいので、集中力も鍛えられそうですね。

鈴木大介 「Snow Apple, or Waiting」

クラシックギター弾きならこの曲がいいですよ、とネット上で知り合った方に勧めてもらった曲です。

りんごを雪に埋めると甘くなっていく、ということと、大切な想いを凍結保存するようなイメージが結びついた、というのが曲名の由来だそう。

※出典は鈴木大介さんのブログより

ひんやりしているけどどこか温かいような、そんな冬の空気と自分の音質が合ったらいいな〜〜〜!という気持ちです。笑

かれこれ3年ほど前からやりたいなと思っていて、楽譜も取り寄せてあるのですが、特に後半がとても難しくてですね……
ハイポジションから逃げない問題に取り組むにはうってつけなのですが、まだ上手く自分の中で消化できていない曲です。