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展覧会の感想、適応障害で休職中の日々の日誌など。気持ちの揺らぎを見つめて自分のハンドリング方法を模索しています。

梨木香歩『西の魔女が死んだ』:魔女修行とサボテン

初めてこの本を読んだのは小学生の頃でしょうか。
梨木香歩作品は『西の魔女が死んだ』以降、中学〜高校の間に『裏庭』『からくりからくさ』『りかさん』『春になったら苺を摘みに』『ぐるりのこと』などを読んでいました。
思い返せば文庫になっているものは結構読んでますね。
『裏庭』は中学の国語のテストの課題図書に指定されていたので読んだのですが「ダーク」で片付けたくない世界観は衝撃的でした。

そんな感じでどの作品もとても大好きなのですが、今回は『西の魔女が死んだ』と、適応障害の日々の生活の話。

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

適応障害と「魔女修行」

適応障害になってから改めてこの作品を読み返してみてだのですが「魔女修行」とはは自分で決めたことをやり遂げる意志の力のトレーニングであるという、おばあちゃんの台詞が実感がありすぎて痛みすらあるレベルです。
生命力を回復させるために、決まった時間に起きて美味しいと思うものを食べ、家事で身体を動かした後は頭と心に栄養を与え、ゆっくりと眠る…今できていないことはまさにこれです。
早寝早起き、食事をとり、よく運動(家事エクササイズ)して、規則正しい生活をする…いまの私には実に難しいことです。
辛うじてやっと最近料理とコーヒーができるようになったくらいですかね。

まだまだ私にも「魔女修行」が必要そうです。
でも、こういうことも「魔女修行」だ、と唱えながらだったら、義務感ではなく少し温かな気持ちが持てそうだと思いました。

「魔女修行」に苦戦しているということは、裏を返せばまだそういうトレーニングができる基礎体力もない状態ってことですもんね…
休職も長くなってきたのに、心と身体のどちらもコントロールできないことを苦しく思っていたのですが、苦しくなりすぎた時は「魔女修行」と置き換えるようにしようと思いました。
ちょっとわくわく感があるだけでも心持ちが変わりそうです。

サボテン、蓮の花、シロクマ

「わたし、やっぱり弱かったと思う。一匹狼で突っ張る強さを養うか、群れで生きる落差を選ぶか…」
「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか?

中学校に馴染めず、学校に足を向けられなくなった少女・まいは、ひと月ほどを祖母の元で「魔女修行」を受けながら日々を過ごします。
この台詞は父親から「転校」を勧められたまいが迷いを見せた際に、西の魔女ことおばあちゃんがまいに告げたものです。
転校・転職など、環境を変えることについての話で引用されることも多い台詞ですね。

この台詞の手前で、まいはおばあちゃんに転校することへの不安を打ち明けるやりとりがあります。

「たとえ転校してあのクラスからは抜け出せたにしても、いちばん根本的な問題は解決しないんだよ。だから、何か素直に喜べないのよね。敵前逃亡みたいで後ろめたいんだ
「根本的な問題の解決なんて、まいのような新米の魔女見習いには無理ですよ。この場合の根本的な問題は、クラス全体の不安ですからね。クラスのみんながそれぞれ不安なんですよ」
「でも、私の問題もやっぱりあると思う」
まいは、けなげにも言い切った。

ちょうど私も仕事について迷っています。

どのタイミングで会社を辞めるか。
次の仕事は見つかるのか。
正社員という働き方を止める覚悟があるのか、etc.
まあ、考えることは多いですね。
そこに苦手な手続きが挟まってくるので気が重いです。

そしてそれ以上に、本当に後ろめたい気持ちに悩まされています。
それこそ「根本的な解決ではない」と思ってしまうんですよね。

誰がシロクマを責めますか?への答えは「自分が責める」です。
会社に対して何も言わずに働いている同期もいれば、文句を言いながら働いている同期もいるんですけど、正直どちらにも後ろめたいです。
なんやかんや耐えている人達に申し訳なくなってしまうのは止めたいんですけど、なかなかこの気持ちが薄れなくて困っています。

それでも心は逃れたいと思っている?

この頃、妙にサボテンが気になっていたのは、恐らくこの台詞が頭の中に残っていたからだと思います。

本屋さんで突然そのことに気づいたので『西の魔女が死んだ』の文庫本と一緒に、3coinsでこのサボテンの小物入れを買いました。
生き物の面倒はまだ自分だけで手一杯なので、本物のサボテンは止めておきました。
枯らしちゃったらかわいそうですからね…

厳密には多肉植物ですけど、まあだいたいサボテンだと思いましょう。
中には私の願掛けグッズを入れて枕元に置いています。
小物入れにしたのはそれがやりたかったのもあるんですよね。
睡眠状況が安定しないので、自分にとってのお守りを枕元に置きたかったんです。

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私はサボテン、蓮の花、シロクマで言ったらサボテンなんですかね。
私の「北極」はいったいどこにあるのでしょう…

余談

写真の左のなかなかふざけた「パイナップルのペン」も、よく考えてみたら大好きなある本からの引用でした。
心が本とお守りを求めてますね。
またこの本についても書きたいと思います。
【書きました】