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展覧会の感想、適応障害で休職中の日々の日誌など。気持ちの揺らぎを見つめて自分のハンドリング方法を模索しています。

ビュールレ・コレクション展と展覧会を横断的に観る楽しみ

以前はゴッホへの愛をひたすら語る記事にビュールレ・コレクション展の感想をまとめていましたが、ある程度展覧会の記事も溜まってきたため、せっかくなので独立させてみました。

ゴッホのセクションが抜群に良かった件

ゴッホ《種まく人》1888年、ビュールレ・コレクション

ビュールレ・コレクション展のゴッホは1セクションとして独立していたので集中して観やすかったですね。
ビュールレ・コレクションの《種まく人》は昨年のゴッホ展で来日したものよりも絵画としてのサイズが大きいので、存在そのものが圧倒的です。
展示されていた場所が抜群に良かったというのもありますが、とにかくパワーに溢れていました。

展覧会を横断的に観るーゴッホ・モネ・ルドンを比較してみよう

ここからは、昨年のゴッホ展-巡りゆく日本の夢/ビュールレ・コレクション展/ルドン-秘密の花園展を参考に、ゴッホ・モネ・ルドンの「花」と「蝶」について比べていきたいと思います。
(花はルドン以外はなるべく「けしの花」に絞っています)

ゴッホの《蝶とけし》

ゴッホ《蝶とけし》1889or1890年、ファン・ゴッホ美術館

これは昨年のゴッホ展で来日したもの。
例によって先述の愛を語る記事から引用します。

遠ざかる日本の夢、という文脈でサン=レミ時代を眺めるのも面白い試みだと思いました。
浮世絵や日本の夢想から離れ、いままさに咲いている足元の花に目を向けるという意味で、印象派の先駆者であり体現者であるモネが、ジヴェルニーに自身の庭園を作り様々な花の作品を残したことと奇妙な偶然を感じます。

とにかく生命力が強い。
この花と蝶は「いま」を生きています。
でもモネの生命力ともどこか違うのは、筆致の違いもさることながら、やはり形が失われていないからでしょうか。あとは目線の低さと近さとか?

ビュールレ・コレクション展、モネが描いたけしの花


クロード・モネ《ヴェトイユ近郊のヒナゲシ畑》1879年?、ビュールレ・コレクション

ぐっと形を削ぎ落としたけしと蝶、風景の中に溶け込むヒナゲシ。ルドンを観てから改めてこちらを観ると、形が失われてもその生命力は失われていないことに気づきます。
こちらは花そのものではなく、空間が生命力に満ち溢れているといったところでしょうか。

ルドンはかなり毛色が違う


ルドン《花:ひなげしとマーガレット》1867年頃、シカゴ美術館


ルドン《蝶》1910年頃、ニューヨーク近代美術館

ルドンの「花」も「蝶」も、形はある程度残っているのにも関わらず、どこかこの世のものではない感じがするのがは、自らより先に死んでいった者達を、一度死んでもなお輝く花や魂として飛び回る蝶になぞらえることで、常に身近な存在として感じ続けていたからではないかと思っています。
この辺りが幻想的と言われる所以かもしれませんね。

詳しくはこちらから。
これは頑張って新しく論文も読んだので、元記事も読んでもらえたら嬉しいです(いつものダイマ)

私は展覧会に行ってから記事にするまでにある程度時間がかかる分、展覧会の記事は今回のようになるべく展覧会を横断的に・多角的に観て楽しんだことを、誰かに読んでもらうに耐えうる形にまとめたいというスタンスで書いています。

何年も前の展覧会で来日したものを引き合いに出すこともあるのでなんとも言えませんが、できれば会期が重なっているものは早めに書き上げて、読んでもらった方に実際に観に行ってもらえたら嬉しいので、ちょっとずつスピードも意識したいと思います。

【予告&メモ】次はモネ《睡蓮》を比較します

ビュールレ・コレクション展ではモネの晩年の大作《睡蓮の池、緑の反映》が来日していましたね。


モネ《睡蓮の池、緑の反映》1920-26年、ビュールレ・コレクション(iPhoneで撮影)

展覧会に関する記事の裏スタンスは「ゴッホ以外はなるべく展覧会の目玉作品ではないものを取り上げたい」なのですが、先日のプーシキン美術館展で最初期に近い《白い睡蓮》を観たので、目玉作品どうしですがこれは比較してみたいと思います。

【予告兼メモ②】セザンヌ《サント=ヴィクトワール山》も比較したい

これもプーシキン美術館展の《サント=ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め》を観て、2016年のデトロイト美術館展@上野の森美術館で観た《サント=ヴィクトワール山》を思い出したので、こちらのことも書きたいです。


セザンヌ《サント=ヴィクトワール山》1904-06年、デトロイト美術館(iPhoneで撮影)

雑な写真で申し訳ないです。
この時期くらいから一部で写真撮影okな展覧会が増えてきた印象がありますね。

完全な余談ですが、この展覧会の監修の千足伸行先生(母校で少しだけ授業を受ける機会があって以来のファンなのです)が、10月のフェルメール展も監修するそうなのでとっても楽しみにしています。
デトロイト美術館展の時は記念講演会があったので、フェルメール展でもやってくれたらいいなと思っています。